競り負けて…春学期授業戦線。

ついに、春学期の授業が開始。

愉快な母娘留学も、早くももう折り返し地点となった。

(写真:雪が降った保育園の庭の図が面白かったので撮っただけ・・)


先日、授業の合間に課題を読みながら、

ついつい居心地の良い学校のソファでウトウト寝てしまい、

目が覚めて、いっけね、いっけね、、と思っていたら、


目の前にモルドバ人の同級生が両手にカップを持って立っていた。


「寝てるの見えたから買ってきた。ミルク有りと無しどっちがいい?」

とコーヒーを差し出す。


なーーーにーーー!!??


髭ヅラコワモテな見た目からは想像できない優しさ!!!!


こちらにきて色々な人の優しさに触れて感動するが、

これはかなり嬉しかったことランキング高いぞ!。

(写真:この日私が寝ていたのはここではないが、Smith Campus Center内のHarvard Commonsはなかなか居心地の良い勉強スペース。)


髭ヅラコワモテ(しつこい)な割にほぼ同い年の彼にも、

自国に残している奥さんと小さな娘がいて、

私の境遇について、「本当偉いと思うよ。」とよくしみじみ言っていくれていたので、

アホ顔で寝ている私を見て、

自国の家族の苦労を思い、哀れんでくれたのかもしれない。


私の中で、私が学校で出会った優しい人代表といえば、

何かと世話を焼いてくれるカザフスタン人ママ(教育者/子供は自国)と

キルギスタン人ママ(Unicef職員/家族で在ボストン)と

このコワモテなモルドバ人の彼なのだが、


旧ソ連圏・ロシアの近くの国の人は

優しくてpaternalistic/maternalisticな素質があるのかしら・・・


***


この種の「この国の人ってこう」というのは、

その国の中でも色々な人がいるだろう中

全くもって勝手なステレオタイピングでだと思うが、


その国の人に出会う機会が少ないと、

その出会った数少ないサンプルN人によって

その国そのものの印象が変わるってことはよくある気がする。


私の夫は、


日本で道に困っている風の外国人を見ると、自分がすごく急いでいたりしない限り、

必ず「助けがいりますか?」と声を掛けている。


そんな風に自然に体が動く彼を、とても尊敬していたが、

その理由を聞いたら、学生時代40カ国以上バックパックした彼曰く、


「自分が旅行してると、旅先で助けてくれた人がいたかで、その国の印象が決まる。

だから日本では自分が助ける。」


のだそうだ。


なるほど・・・


私も一期一会のケネディ・スクールライフで

日本人の良い印象を醸成できているのでしょうか・・・・・!


***


さて、前振り小話が長くなりすぎた。。。


春学期の授業である。


今回は色々悩んだ結果、

自分の問題意識にダイレクトに答えの糸口をくれそうな

経済系の授業を3つに絞り、

あと、一つだけ違う毛色のものも・・・と思い

保有していた残りポイントを全部かけて、1つの授業に入札した。


Steve Jarding教授の「Making Of a Politician」である。


これは30年間政治家のキャンペーン・マネジャーとして選挙を指導し、

スピーチ原稿やメディア指導なども手がけてきたJading教授が、


「政治の本質はコミュニケーションである」


として、政治家志望者のみに関わらず、

学生達が公的な立場で話をするためのメディア・トレーニングをするもので、

間違いなくケネディ・スクールの一番人気の授業の一つだ。


秋学期には、

「メディア・トレーニング」って・・・

日本人的にはアメリカの感覚の、しかも「メディアでの見え方」を学んでも

あんまり得るものが少ないような・・・?と


必要な入札ポイントが膨大な割に、優先順位が低いような気がして、

取る気があまり無かったのだが、


受講した友人達が口々に

「これこそ学費払った価値があると言える授業だった!!!」

とまで言っているのを聞いて、


心が動いて、Shopping Dayの授業に行って入札してみることにした。


メディア・トレーニングと言うだけあって、授業の内容は

まず最初の頃の授業で、ケネディ・スクールのスタジオでスピーチを収録し、

そのビデオを見ながら先生と1対1の改善指導の面談を一時間受け、

そのほか、インタビュー、ディベートなども収録して改善するというもの。


自分が喋る時の癖は?

Gotcha!(やっちまったな!)な質問が来た時どう切り抜けるのか?

インタビューでは質問に答えない?(自分のフレームに変えて回答する)

謝らなくてはいけない時は?

など様々なシーンを想定し練習しながら学ぶ。


最後には、再度スピーチをしてその改善幅を評価され、

そして、大統領選を想定した政策ディベートを行う。


「政治家という職業は本来崇高なもので、

今のように人々からの信頼が得られて無いのは本当に残念なことだと思っている。

ハーバードで学ぶ君たちには信頼を回復する人になれる素質がある。

『自分は喋るのが下手だから、絶対政治家になんてなれない』

なんて絶対に思って欲しく無い。そのために僕がいる。」


彼が生徒達を魅了してやまない理由がわかるような

パワフルなスピーチから始まった彼の授業。


「どう立って、どう足を置いて、目線はどうで、手をどう使って・・・」と

表向きなテクニックと思われがちなメディア・トレーニングが

政治家という職業にとって本質的なコミュニケーション能力を育てるためには

本当に重要なのである、そして、それは

練習すれば習得できるのである、と言う彼の信念が伝わってくる。


「自分が信じていることを語ることでしか伝わらない」

と言う彼の基礎のお手本を見ているようだった。


最初の授業では、

ゴードン・ブラウン首相の失言から謝るまでの一連のやり取り、

ヒラリー・クリントンのインタビュー、

ある地方議員の酷い出馬宣言のスピーチ、

大統領候補とも目されたある知事が下手したスピーチ、

あらゆる人の政治生命の決定的瞬間でもある失敗事案を紹介しながら

批評し、良い点・悪い点などを議論した。


確かに、こんなに熟練な教授が自分のために一対一で1時間割いてくれるだけでも、

学費の価値がある、と言うのもわかるなー・・という印象だった。


***


で、1回目の授業を終えて、

ドキドキワクワク入札結果を見たら、


52人のクラスの枠に124人が申し込んでおり、

なんと年間で与えられている1000ポイント中、985点が通過ポイントだった。


秋学期でもいくばくか使っていて899点しか持っていなかった私は

残念ながらあえなく敗退したのだった。。。。。


あぁ、無常。


Jarding教授はハーバードのTenure(教授の終身在職権)が取れなかったらしく、

ヘッドハントされて来年にはStanfordに行ってしまうから

もうケネディ・スクールで教えるのも今年が最後との噂もあり、

毎年1-2位を争う超人気授業ではあるものの、

そんな噂で更にポイントが暴騰していたようだ。


まぁ、でも、最初の授業でただけでも学びは大きかった。

彼の推薦する課題図書を読んでみよう・・と思ったのでした。

(写真;TAのClaudiaが撮ったJarding教授の初日授業の写真。

最初の授業は入札結果公表前なので、学生が後ろの壁にも前の床にも溢れている。)


***


「あの授業とる?」

「あれどうだった?」

「あー、教授にメールしてみよう!」

「何点だったら通るかな?」

「やばーい、代わりどうしよう?」

「この単位が足りない〜」


みたいな、みんながザワザワするこの独特の一週間をやっと終え、

来週からは、本格勉強モードです。


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