あなたは、この部屋唯一の〇〇になったことがありますか。
卒業まで100日を切った!
改めて大事に過ごそう、との思いをあらたに。
(入り口入ってすぐのケネディ大統領の絵。)
さて、
「あなたは、自分が『この部屋唯一の〇〇』だった経験したことがありますか?」
先日の同級生の議論の場で、黒人の同級生が投げ掛けた言葉だ。
私の所属している修士プログラムでは、
毎週一度、プログラムの同級生が集まって、
情報共有したり、テーマを選んで話し合う時間がある。
例えば、冬休みにギリシャの国境沿いの島で
難民救助やキャンプの実態を見学、支援してきたレポートや、
中間選挙の後はそのデブリーフィングなど、
様々なテーマで話し合いや情報共有をしている。
冒頭の質問に対して、同級生たちは
「私は、防衛省の高官会議で唯一の女性だった」
「私は、同級生の中で唯一のヒジャブ(ムスリムの女性の髪を隠すスカーフ)をつけた人だった」
と口々に自分の経験を語り出す。
この質問を投げかけたのは、アフリカ系アメリカ人の同級生2人だ。
今月は「黒人歴史月間(Black History Month)」で、
アフリカ系アメリカ人の歴史における偉業をおさめた英雄や歴史について学ぶ
アメリカやカナダ、イギリスで行われているものだ。
ケネディ・スクールの廊下にも、
アフリカ系アメリカ人の紹介ポスターが貼られていた。
彼女は、
「ケネディ・スクールの今の200人程度の同期の中で、
アフリカ系アメリカ人が6人しかいない」
と嘆く。
「オバマも大統領になったし、
『黒人に対する差別はもう過去のことだ』
そう言われるのは納得がいかない。
だって今も起きているんだもの」
周りにいる超優秀なアフリカ系の友人たちが
「誤解されないように、人よりも気を使って身なりを整える」
と言う。
それは如何に「黒人である」と言うだけで
バイアスに晒されていて、
生きるのが難しいかを物語る。
2013年にフロリダで黒人少年が白人警察官に射殺されたことから
広がった「#Black Lives Matter」。
キング牧師が訴えたことは過去のことではなく、
所得格差や逮捕率など
あらゆるデータが今でも問題が根深いことを示している。
同級生たちは非アメリカ人も多いので、
その感覚が理解できない人も多い。
「知らないからこそ差別的とも取られることを言ってしまうこともある、
リーダーになる人にはそれも理解してほしい。」
と言った意見や、
「本当は、黒人の2人が主導するんではなくて、
周りの白人の私たちがこの取り組みを主導するようにならないといけない」
「どの国でも人種・宗教・階級など差別は必ずある」
などいろいろな議論がされた。
モーガンフリーマンは
「黒人の歴史はアメリカの歴史であって、黒人歴史月間は必要ない」
と言っている。
残念ながら月間は必要ない、と国民が納得することができない
今の現状に思いを馳せる。
***
ケネディ・スクールの同級生のみんなは、
そういった経験を持っている人が多く、みんなその苦労や経験を糧にして
社会を変えようとしている人が多いと思う。
あたなはこの部屋唯一の〇〇になったことがあるか。
その質問は社会を映す鏡でもあるし、
自分たちを突き動かすモチベーションでもある。
〆
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