HKS女性リーダー達の横顔(2):小さな島国からの発信ーバルバドスの外交官Donna。
さて、ケネディ・スクールにいる間に、
色々な生き方で活躍してる同級生の女子たちを紹介したい!と、
前回第一回としてLucilaを紹介したこのシリーズ。
早速の第二回はバルバドス出身の外交官、Donna Fordeさん。
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Donnaは、
200程いるミッド・キャリアの同級生達の中で、
間違いなく「名前がすぐ知られた人」の1人だと思う。
廊下ですれ違うと、いつも暖かく笑顔でハグしてくれ、
私の中の彼女のイメージは明るい「太陽」。
そして、ゆったり構えながらも、
はっきりとモノを言うので、
彼女の職業が外交官と聞いたときは
「なるほどな」と思った。
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バルバドスは
カリブ海の英連邦の島国で
人口は約30万人と
日本で言うと豊島区くらいのサイズ、
もしくは、都道府県で一番人数の少ない鳥取県を
更に半分にしたくらいのサイズである。
そんな島で育った彼女は、
常に「外の世界」を見てきた。
バルバドスの大学でフランス語とスペイン語を学び、
フランスの名門、パリ政治学院Sciences Poに奨学金で留学し、
学校の先生、企業や公的機関の広報幹部、そして外交官とキャリアを積んできた。
彼女のキャリアは常に外に発信する仕事だ。
その彼女のみなぎる「挑戦精神」と「発信力」は
どこから来るのか?
「小さな島で育ったから、
そこから常に外を見ていたこと、
外に出てみたら、
自分が黒人女性でなかなか声が届かないと気づいたこと、
この二つが大きいね。」と教えてくれた。
彼女は「常に権威authorityに挑戦するタイプ」と自認していて、
きちんと自分の声が届くこと、
それをとても大切にしてきた。
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彼女のキャリアのもう一つの一貫したテーマは、
「人のために尽くす(Working for the good of people)」である。
これは官民両方の仕事を経験して尚更強まったそう。
彼女が大学院を出てバルバドスに戻った後、
カリブ海観光機構(CTO)という公的機関の広報官となった。
観光業は言わずもがな、
カリブ海の島々の重要な基幹産業であり、
CTOは、カリブ海の34カ国が参加する
観光の開発組織だ。
観光の開発に関わることは、
雇用、そして人々の生活を豊かにすること。
その後広報官を務めた
民間組織カリブ海のホテル協会と比較しても、
利益を追求する株主重視の民間企業より、
公のために働くことが、自分の情熱だ、
と確信したそうだ。
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そんな彼女にとって、
辿り着いた外交官という仕事は天職。
日本で外交官と言えば、
(一部大使レベルを除いて)大学を卒業して
すぐ外交官試験を受けて、、、
というイメージで
彼女のように実務経験を経て外交官になった
話を聞くのは、なかなか新鮮だ。
同時に、観光が主要産業のバルバドスにおいて、
常に発信をしてきた彼女が外交に携わるのは、
とても理に適っていると感じた。
Donnaは外交官の仕事で、
ハイチ、プエルトリコ、ニューヨクの国連本部に駐在を経験。
そして直近の仕事は、
「大使」としてキューバ大使館を新設することだった。
彼女にとってキューバの仕事は一番の挑戦だったそうだ。
政治システムの違いから、
国として基本的な価値が違う国で如何に発信し
友好関係を築いていくか。
1966年に独立し
言論の自由や自由市場が当たり前だったバルバドスと比べて、
キューバの社会主義政権下での外交の仕事は
本当に苦労が多かったと言う。
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彼女がケネディ・スクールに来たのは、
そんな走り続けたキャリアから
一旦立ち止まってリセット期間を置いて、
もう一段高いレベルに挑戦するためだそうだ。
彼女は言う。
「外交官は、とても大変な仕事。
家族を犠牲にしなくてはいけないことも多くて、
結婚しなかったり離婚したりする人も多い。
私は、キャリアを形成する時には、
同時に自分を大切にして労わる方法を
学ばなくてはいけないと思う。
自分の健康、自分の家族、ずっと続けられる趣味・・・
そういうこともきちんと時間を投資することが
長く続けていく上で、成功する上で、
とても大切なこと。」
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彼女が今後やりたいこと、
として二つの挑戦を教えてくれた。
一つは外交官として、
これからも公のために働くこと。
今後は国際機関などでも活躍したいと考えているそうだ。
そしてもう一つは、
母国で財団を立ち上げること。
彼女は、外交官の仕事で、
数年前、愛する父親が亡くなる時に側にいれなかったことが
今でも心に引っかかっている、と言う。
彼女の父親は晩年アルツハイマーを患っていた。
バルバドスでもアルツハイマーを患う人は年々増えている。
だから、
そんな患者や患者の家族を支援できるような財団を作りたい。
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長年、
プロフェッショナルとして、
小さな島国から発信し続け、
大使まで登りつめ、
キューバでの大使館新設という
大役をやり切ったDonna。
彼女の「自分を大切に」と言うアドバイスは
いつも笑顔でいる彼女の裏側に、
長いキャリアを築いていく上で
様々な苦労を乗り越えるのに、
自分の心を支えてくれる
愛する人達と過ごす時間や、
時には立ち止まって、
「自分が何を大切にしているのか」
と向き合うことの大切さ
があることを、実感させてくれる。
彼女の次のステージでの挑戦を心から応援し、
また世界のどこかで活躍している彼女のビッグ・スマイルを見るのを
楽しみにしている。
(徹夜レポート明けで自分の顔が疲れ切っている・・・)
〆
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