HKS女性リーダー達の横顔(2):小さな島国からの発信ーバルバドスの外交官Donna。

さて、ケネディ・スクールにいる間に、

色々な生き方で活躍してる同級生の女子たちを紹介したい!と、

前回第一回としてLucilaを紹介したこのシリーズ。


早速の第二回はバルバドス出身の外交官、Donna Fordeさん。


***


Donnaは、

200程いるミッド・キャリアの同級生達の中で、

間違いなく「名前がすぐ知られた人」の1人だと思う。


廊下ですれ違うと、いつも暖かく笑顔でハグしてくれ、

私の中の彼女のイメージは明るい「太陽」。


そして、ゆったり構えながらも、

はっきりとモノを言うので、

彼女の職業が外交官と聞いたときは

「なるほどな」と思った。


***


バルバドスは

カリブ海の英連邦の島国で


人口は約30万人と

日本で言うと豊島区くらいのサイズ、

もしくは、都道府県で一番人数の少ない鳥取県を

更に半分にしたくらいのサイズである。


そんな島で育った彼女は、

常に「外の世界」を見てきた。


バルバドスの大学でフランス語とスペイン語を学び、

フランスの名門、パリ政治学院Sciences Poに奨学金で留学し、

学校の先生、企業や公的機関の広報幹部、そして外交官とキャリアを積んできた。


彼女のキャリアは常に外に発信する仕事だ。


その彼女のみなぎる「挑戦精神」と「発信力」は

どこから来るのか?


「小さな島で育ったから、

そこから常に外を見ていたこと、

外に出てみたら、

自分が黒人女性でなかなか声が届かないと気づいたこと、

この二つが大きいね。」と教えてくれた。


彼女は「常に権威authorityに挑戦するタイプ」と自認していて、

きちんと自分の声が届くこと、

それをとても大切にしてきた。


***


彼女のキャリアのもう一つの一貫したテーマは、

「人のために尽くす(Working for the good of people)」である。


これは官民両方の仕事を経験して尚更強まったそう。


彼女が大学院を出てバルバドスに戻った後、

カリブ海観光機構(CTO)という公的機関の広報官となった。


観光業は言わずもがな、

カリブ海の島々の重要な基幹産業であり、

CTOは、カリブ海の34カ国が参加する

観光の開発組織だ。


観光の開発に関わることは、

雇用、そして人々の生活を豊かにすること。


その後広報官を務めた

民間組織カリブ海のホテル協会と比較しても、

利益を追求する株主重視の民間企業より、

公のために働くことが、自分の情熱だ、

と確信したそうだ。


***


そんな彼女にとって、

辿り着いた外交官という仕事は天職。


日本で外交官と言えば、

(一部大使レベルを除いて)大学を卒業して

すぐ外交官試験を受けて、、、

というイメージで


彼女のように実務経験を経て外交官になった

話を聞くのは、なかなか新鮮だ。


同時に、観光が主要産業のバルバドスにおいて、

常に発信をしてきた彼女が外交に携わるのは、

とても理に適っていると感じた。


Donnaは外交官の仕事で、

ハイチ、プエルトリコ、ニューヨクの国連本部に駐在を経験。


そして直近の仕事は、

「大使」としてキューバ大使館を新設することだった。


彼女にとってキューバの仕事は一番の挑戦だったそうだ。


政治システムの違いから、

国として基本的な価値が違う国で如何に発信し

友好関係を築いていくか。


1966年に独立し

言論の自由や自由市場が当たり前だったバルバドスと比べて、

キューバの社会主義政権下での外交の仕事は

本当に苦労が多かったと言う。


***


彼女がケネディ・スクールに来たのは、


そんな走り続けたキャリアから

一旦立ち止まってリセット期間を置いて、


もう一段高いレベルに挑戦するためだそうだ。


彼女は言う。


「外交官は、とても大変な仕事。

家族を犠牲にしなくてはいけないことも多くて、

結婚しなかったり離婚したりする人も多い。


私は、キャリアを形成する時には、

同時に自分を大切にして労わる方法を

学ばなくてはいけないと思う。


自分の健康、自分の家族、ずっと続けられる趣味・・・


そういうこともきちんと時間を投資することが

長く続けていく上で、成功する上で、

とても大切なこと。」


***


彼女が今後やりたいこと、

として二つの挑戦を教えてくれた。


一つは外交官として、

これからも公のために働くこと。

今後は国際機関などでも活躍したいと考えているそうだ。


そしてもう一つは、

母国で財団を立ち上げること。


彼女は、外交官の仕事で、

数年前、愛する父親が亡くなる時に側にいれなかったことが

今でも心に引っかかっている、と言う。


彼女の父親は晩年アルツハイマーを患っていた。

バルバドスでもアルツハイマーを患う人は年々増えている。


だから、

そんな患者や患者の家族を支援できるような財団を作りたい。


***


長年、

プロフェッショナルとして、

小さな島国から発信し続け、

大使まで登りつめ、

キューバでの大使館新設という

大役をやり切ったDonna。


彼女の「自分を大切に」と言うアドバイスは


いつも笑顔でいる彼女の裏側に、


長いキャリアを築いていく上で

様々な苦労を乗り越えるのに、


自分の心を支えてくれる

愛する人達と過ごす時間や、


時には立ち止まって、

「自分が何を大切にしているのか」

と向き合うことの大切さ


があることを、実感させてくれる。


彼女の次のステージでの挑戦を心から応援し、

また世界のどこかで活躍している彼女のビッグ・スマイルを見るのを

楽しみにしている。

(徹夜レポート明けで自分の顔が疲れ切っている・・・)


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