女性の社会進出と「ジェンダーギャップ」。

年の瀬になりました!


ということで秋学期が終了!バンザイ!

最後の方は、試験と最終レポートが数日毎にあるため、

一つクリアしてまた数日後までにもう一つクリアして・・・と、、

かなり息切れながら、次のゴールを目指してほふく前進で乗り切った感じになり、


とにかく終わって良かった・・・

というのが、まず最初の感想。


休みに入って、日本から夫もお休みを取って渡米してきてくれ、

やっと安堵して久しぶりに落ち着いて書いている。


***


さて、10日ほど前にWorld Economic Forum(WEF)の

今年のThe Global Gender Gap Report(男女平等に関するランキング)が発表された。


日本は144カ国中、

2016年が111位、2017年が114位、


今年は・・・・ジャジャーン。


110位。


上がったという人もいるが

先進国最低レベルで鳴かず飛ばず、である。


***


ケネディ・スクールで

「日本は女性の社会進出が問題なんだよね」というと、

二種類の反応が返ってくる。


日本のことをそんなに知らない人は

「へー、意外!先進国で進んでるイメージなのにね!」と。


日本と少しでも仕事など関わりがある人は

「だよね、面談してもオジサンしか出てこないもんね。」と言う。


それに加えて、

ニュースをフォローしている人から言われるのは

「あ、でも労働参加率70%って凄くない?」と。


そうなのだ。


安倍政権のウーマノミクスの甲斐あってか、

今や日本の労働参加率は70%近い。


これはアメリカ(57%)より高い。

労働参加率的にはM字カーブも解消されつつあるのだ。


しかし、個人の実感として70%!より110位!の方が納得感があるのは何故だろう。


そんな疑問から、

財政学の最終レポート(政策提言メモ)は

「日本の女性の労働参加率」をテーマにした。


財政に関する分析と提言さえ含まれていれば

テーマは教授と相談して自由に決められるのが素晴らしい。


最初は待機児童問題について

経済学的で言うところの市場の失敗があるのを掘り下げようかと思い

教授と話し始めたが、

結果的にもう少し大きいスコープで落ち着いた。


税制エキスパートの教授的には日本の「103/130万の壁」の記憶があったらしく、

(その点については税務面では来年からある程度解消されると伝えたが)

面白いテーマだと思ったらしい。


***


ちなみに、

Jay Rosengard教授の財政学(Public Finance)は

政府規模・社会保障・民営化/官民連携・税制・地方財政分権など、

スタンダードな財政学のテーマを一通り勉強する授業。


Feldstein/Liebmanの公共経済学と近しいテーマも多いが

そちらがより経済理論に近いのに対して、


Rosengardの持ち味は

自分が東南アジアの特に税制税制のエキスパートであることと、

授業では理論は薄めに撫でて

(Stiglizと共著の彼の書いた教科書を「読んどいてねー・・」と)、

実世界の実例を重視することだ。


例えば、ニューヨーク市で初めて実施された

留置所向けのソーシャル・インパクト・ボンドは何故失敗したのか?

9.11前の空港警備員の民営は何が問題だったのか?

など面白いケースも多い。


***


で、女性の社会進出についてである。


まず、何故WEFのランキングがそんなに低いのか?


これは、比較的単純で、

日本の場合は教育や健康などの環境は良く相対的なランキングは良いものの、

主に女性の政治家・管理職比率が低いこと(この分野のランキングは129位)や、

男女の賃金格差が広いことがランキングを圧倒的に下げている要因だ。


このレポートの比重において、

女性の労働参加率は経済活動分野の一項目でしかないのである。


***


賃金格差については、

日本はOECDの中で3番目に格差があるというデータもある。


何故こんなに賃金格差が大きいのかといえば、

1) 家庭に入っていて稼いでいない女性が相対的に多い

2) 働いている女性の賃金が低い


の二点かと思うが、


1)については

女性が、家事など賃金が発生しない仕事にかける時間は、

世界平均で男性の2倍なのに対して、

日本の場合は5倍とのことなので、確からしい。


一方で労働参加率が上昇してることから1)が解消方向だとすると、

2)は何故かと。


男女雇用均等法が施行されたのが86年なので、

現在でも年功序列世界の日本では給与の高い女性管理職が少ない事、

また、相対的に賃金の低い一般職/事務職などに代表される

アシスタント業務が女性の仕事とされていた社会的背景、

それに加えて、おそらく(上記の仕事内容にもリンクしているが)

女性の非正規雇用比率が高い(55%)ことも一つの要因となっている。


非正規雇用の場合、賃金が相対的に低いことと、

非正規雇用により昇格チャンスが乏しいことから

ますます管理職に女性がいないことの原因となり、

両方がダブルで効いている。

尚、非正規の場合は出産時に3/4の女性が退職してしまう。


ニッセイ基礎研究所のレポートによれば、

大卒女性が一度出産後に正規職を退職して

第二子が小学校入学時にフルタイムの非正規となった場合と

辞めずに産休を取得して復帰した場合とのを比較して、

辞めて非正規で復帰した場合は、

生涯賃金が半分以下となるとの試算結果だった。


**


ちなみに、大前提として、


子供を持つことも、仕事を続けることも、正規・非正規の働き方についても

全ては人それぞれの幸せ、生き方の選択や、健康などの前提条件の問題なので


政策を作る側が

「産めー!働けー!辞めるなー!バリバリ働けー!」

と言うのは絶対あってはならないと思う。


即ち、生産力たる「労働参加率」を上げるという事や

マクロの人口増加のための出生率上昇が

政策の第一目的であってはならないと思う。


ただ、働きたい、産みたい、と言う人がいるのであれば


それをできる環境にする、そこにある障害を取り除いて

潜在レベルまで引き上げる、と言うのは重要なことだ。


労働参加率でいえば、

統計局のデータでは80%の女性が働きたいと言っているので、

現在の70%を80%まで持っていく努力はすべきだろう。


また、出産での退職を機に非正規をやむなく選んでいる場合は多いので、


1) そもそも正規職を辞める原因となる子育て環境の改善、

2) 辞めても同じような職種に復帰できる労働環境の整備、

3) 正規・非正規や年齢など仕事の内容や評価と関係ない不合理な賃金格差の是正

が大事だ。


そうして考えると、


数字上の労働参加率ではなくて、

真の意味での女性の社会進出を実現するためには、

即ち、ランキングの低い要因となっている事象を解消するためには、


1. 辞めたくない人が出産をきっかけに辞めないために:


o 保育園の待機児童や学童やベビーシッターなど、金銭面の負担軽減も含めて最低限働く環境整備。(例えば、思い切って84%の子供が保育園に通うスウェーデンのように働く有無にかかわらず全ての人に保育を受ける権利を保証するなど。)


o そもそも育児/育休が女性だけの負担という概念/バイアスを撤廃し、男性=仕事、女子=家事の前提となっている長時間労働を無くし、世界最低レベルの男性の家事参加時間を増やす。(これは、壁にかかっているリーダーの写真を男女半々にするなど小さなことも含めて、ケネディ・スクールのIris Bohenet教授の男女バイアスを取り除く行動科学に基づいたプログラムなどが非常に面白い。)


2. たとえ辞めたとしても:


o 終身雇用ではなくより流動性の高い労働市場で、復帰できるような環境整備。


o 復帰した場合の条件として、非正規/正規の不合理な待遇格差をなくし、また、女性が途中でキャリアを中断しても実力があれば昇格できるよう、年功序列ではなくて能力に応じた評価/賃金の反映。


o いわゆるサラリーマン以外の職種でも、専門知識や経験に応じて賃金を上昇/交渉できる環境を整備する。


といった事が必須になると考えている。


今の安倍政権の政策はいずれも効果を発揮していると思うが、

幼児教育の無償化よりも、

例えば、働く人も働かない人も保育園に預けられる環境を整備したりする方が

現実的な問題としては優先のように思う。

(教育を受ける権利の担保や、少子化に対するインパクトのあるメッセージとしての意図には共感するものの。)


という事で、レポートでは政策の経済効果や財政的手当にも

頭を捻って考えたのだった。


***


そんなレポートの合間に、シンガポール人の軍人のC君とランチをする機会があった。


C君は軍の支援でUndergrad(学部)もハーバードに行った秀才で、

子供が4人いる。


奥さんは小児科医で、ボストンへの留学には家族6人で来ており、

現在も奥さんはボストンの代表的な病院にて、臨時で働いているそう。


バリバリの二人でどうやって子供4人を育てているんだろ、

と気になっていたが、


シンガポールでは親御さんと二世帯、

かつ二人の住み込みのインドネシア人Nannyさんがいるとのこと。


C君は防衛省の仕事でインドネシアへの駐在経験もあり、

インドネシアの2.6億人の人口、

現在も5%前後で継続する経済成長、

ASEANでのリーダーポジションを考えると、

同国は将来性有望と考えているそうで、

Nannyさんに家では子供達にインドネシア語で話しかけるように

依頼しているらしい。


彼は中国系でもあるので、もちろん子供も

英語、中国語、インドネシア語を学んでいるというわけだ。


私のいるプログラムのシンガポール人は

日本人の数と同じ2人。


二人ともタイプは全然違うが、極めて優秀で

東京の半分の人口しかいないシンガポールの底力を感じている。


4人子供がいて夫婦ともに活躍している彼の話を聞いていると、


保活が大変!二人目どうしよう!

とか言っている悩みがスケールの小さいものに感じる。。。

(ちなみに、シンガポールの出生率は1.2程度で日本より低いので、

その意味では国の問題ではなくて、彼の属人的な凄さなのかも。。)


待機児童問題や学童問題など、

そして労働市場や社会の意識。


基本的インフラになるべきものは整備されていないと

その先に進めない!!!


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